無職生活3年目  のんびりと ひっそりと 自由に生きております

空白 空気の重さと役者の技量

今回はイオンシネマで観てきました

段々と涼しくなってきた今日この頃、お出かけの際にどの服を着ていくか困っています

真夏や真冬のように「一日中この格好でいい」とはいかないのがつらいです

まあ根本的には持ってる服が少ないことが原因なんですがね

 

 

監督・脚本
吉田恵輔
出演
古田新太
松坂桃李
田端智子
藤原季節
趣里
伊東蒼
片岡礼子
寺島しのぶ

全てのはじまりは、中学生の万引き未遂事件。

スーパーの化粧品売り場で万引き現場を店主に見られ逃走した女子中学生、彼女は国道に出た途端、乗用車とトラックに轢かれ死亡してしまった。

女子中学生の父親は「娘が万引きをするわけがない」と信じ、疑念をエスカレートさせ、事故に関わった人々を追い詰める。

一方、事故のきっかけを作ったスーパーの店主、車ではねた女性ドライバーは、父親の圧力にも増して、加熱するワイドショー報道によって、混乱と自己否定に追い込まれていく。

 

 

重い とにかく重くてつらいです

 

全ての始まりである万引きの件について

花音がはっきり万引きしたという映像はなく、かつ事務所でのやり取りも描かれていない

花音が事務所から飛び出して外へ逃げてあげく交通事故死したため

どっちがいい・悪いが決められません

 

「こいつが悪い」と誰にも決められないあやふやな状態のまま花音の父、充が真実を知りたいと暴走

スーパー経営者青柳を責め、学校を責め、事故を起こした運転手を責める

ワイドショーが充・青柳双方へのインタビューを切り貼りして二人を面白おかしく悪者にして放送

それを見た一般人が二人を責める

スーパー店員草加部が「店長は何も悪くない」と充を責める

 

こんな風に「誰かが誰かを責める」というのがずっと続くので

観ていて気分が重くなります

 

特に充

漁師で元々気性が荒く、花音との関係も良くなかったところを

花音の死をきっかけに花音の事をもっと知りたいと思うようになり

その思いがあまりに強いが故の暴走

そこは分からないでもないけど見た目は完全に暴走列車

マスコミの格好のネタなんだよなぁ

 

とにかくずっと重いまま、誰もが不幸になってしまった終盤で

ようやく充と青柳に、自身の心の「空白」を埋める出来事があって

それで上映終了

最後まで重いまま救いの無いまま終わる手もあるけど、この映画でそれをやったら観てるこっちが救われません

これまでの不幸に比べればほんの些細な出来事だけど

ああ良かった、ちょっとだけ前向きになれたとほっと一息の幕引きでした

 

充役の古田新太 怒り狂うところもあれば静かに冷徹に追い詰めるところもある 緩急の付け方が絶妙

青柳役の松坂桃李は気弱で芯のなさそうな役がばっちりハマりますね

ボランティアやってるいい人なんだけど空気読めないスーパー店員草加部役寺島しのぶ

自身の周りがうまく回っていかないやるせなさ・しんどさが良く伝わりました

 

キャストのなかで一番印象深かったのは交通事故を起こした女性の母役片岡礼子

充の心の空白を埋めるきっかけになった充への対応シーンがすばらしい

揉め事になりそうな周囲の空気の中、充を責めたい気持ちをぐっと抑え、さらには事故を起こした娘の罪を背負って生きていきますと謝罪

この作品唯一といっていい、誰かを「責めなかった」瞬間

ここ、私の心にガンガン響いて泣けました これ書いてる今でも泣けます

 

 

ひたすら重くて暗くて、観ていて楽しい作品ではありません

が、強烈に心に残ることは間違いありません オススメします

 

ただ一つ注意するべきは全ての発端である花音の交通事故死シーン

これが異様に現実的で生々しく、合成・CG・作りものだと分かっていても思わず「うわっ・・・・・・」と声が漏れる出来になっています

苦手なかたはご注意ください

70点